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2014/12/12チーターのペアリング

 

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2013年から展示を開始したチーターですが

ようやく、安定して飼育ができるようになってきて、

繁殖のためのペアづくりをすすめているので

ご紹介します。

 

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はじめに、現在、飼育している個体を紹介しておきます

オスの「アーサー」と「ジョージ」はそれぞれ3歳で、

メスの「サクラ」と「チーコ」はそれぞれ4歳です。

4頭とも繁殖が可能な年齢に達しています。

 

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アーサー

 

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ジョージ

 

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サクラ

 

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チーコ

 

 

チーターは繁殖が難しい動物であると考えられていますが、その理由として

①メスの発情が不安定で、オスとメスを常に同居させておくと、メスの発情がなくなってしまう

②メスのオスに対しての「より好み」が激しい

③オスの精子を作る能力が低い

などがあげられています。

 

 

発情というのは、メスが妊娠可能な時期のことで

体の中の変化によって、排卵があったり、特徴的な行動をとったりします。

動物園で飼育している大型のネコの仲間は、

トラやライオンなどのように発情が明確で、

ペアの相性が極端に悪くなく、同居に成功すれば繁殖することが多いのですが、

チーターは違うようです。

 

 

また、チーターは本来、単独性で、1頭でいることを好みますが、

オス同士は複数同居が可能です。

ほかの単独性の動物の場合、メス同士は同居できても

オス同士はケンカしてしまうことが多いのですが、

この点でもチーターは違うようです。

 

 

そこで、大まかな飼育方針として

①オスとメスは発情が確認された時だけ同居させ、通常はお互いが見えない状態で飼育する。

②オス2頭のグループを作る。

ことにして飼育を開始しました。

 

 

2013年の3月に飼育を開始した時点では、

とにかく初めての飼育ということで安全策をとり、

全ての個体をそれぞれ単独で展示しました。寝室は常に1頭づつ収容します。

 

 

2013年の12月頃になると、

飼育も安定し、個体の状態も把握できるようになってきたので、

金網越しの見合いをした時に、

発情時に特徴的な行動が見られた場合は、

オスとメスを同居させることにしました。

 

 

金網越しの見合いをしてみると、

オスのジョージがメスのチーコに対して 「クルクル」 と鳴く

発情時特有の行動が見られたので、

2頭を同居してみることにしました。

 

 

ジョージはチーコに対して積極的に接近を試みますが、

チーコは威嚇し、時にはたたき合いのケンカになります。

数日間、同居を繰り返してみましたがうまくいきません。

ジョージはこのときまだ2歳と若く、オスとしての魅力が足りなかったのかもしれません。

 

 

その後、見合いの様子を見て同居を数回試みましたが、

チーコは受け入れてくれませんでした。

チーコはどうも気が強すぎるようなので、

ペアリング候補からひとまずはずすことにしました。

 

 

そこで、もうひとつのプラン  「オス2頭のグループづくり」 をすすめることにしました。

展示場所が3か所で個体が4頭ですので、どうしてもローテーションになります。

オス2頭を同時に展示できれば、

動物の健康にも、迫力の点でも利点が多くあります。

 

 

2頭のオス、ジョージとアーサーは隣り合った寝室に収容しており

金網で仕切られていますが、お互いが見えないように板で目隠しをしてあります。

展示場での同居に向けて、お互いをよく知ってもらおうと

目隠しの板を幅30cmほど開けてみました。

2週間後にはもう30cm開けてみました。

 

 

これで、お互いに顔を見ようと思えば見れますし、

いやなら見ないこともできます。延べ1か月かけて顔見せをしたあとで、

2014年の2月にオス2頭を運動場で同居しました。

 

 

いざ同居をしてみると、お互いに知った仲とはいえ

警戒しあいながら距離を縮めていきます。

約1mの距離まで縮まったかと思うと、

ジョージがアーサーを前足でたたきました。

 

 

そのあとは、もう、取っ組み合いのケンカです。

その日は、4回ほどケンカになりましたが

お互いに距離をとって、安定したようなので

これ以降、オス2頭は同居展示にしました。

 

 

 

 

2014年の3月以降はメスはサクラを、オスはジョージを中心に

柵越しの見合いなどで、オスメスの関心が高い場合に同居を数回おこないましたが

ケンカをしたり、お互いに距離をとって無関心になったりと

うまくいきませんでした。

 

そこで、セオリーから外れてみることにしました。

オスとメスを常に同居させ、お互いに十分になれることを目標にし、

その後、分離してメスの発情が再開するのを待つことにしました。

2014年の9月以降、現在まで、オスのアーサー、ジョージ、メスのサクラを

常時、同居展示をしています。

 

 

 

同居開始後、ジョージがサクラに接近しようとして、

拒否される姿が頻繁に見られましたが、

つれない相手にジョージもあきらめたのか、サクラに対する興味を失ったようです。

 

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かわりに、アーサー、ジョージ、サクラの距離がぐっと縮まりました。

それまで、それぞれ4m以上お互いに距離をとっていたものが、

1m以内に近付くようになり、

お互いに触れそうな距離ですれ違うこともしばしば見られるようになりました。

ペアリングする場合に、ここまで無関心なのはどうかと思いますが、

お互いの存在を「普通」と感じるようになっているのは間違いありません。

 

 

 

長いお話でしたが、ここまでが現時点での状況です。

今後の予定として、

①メスのサクラをオスから隔離して発情の再開を待つ。

②これまでオスから隔離してきたメスのチーコをオス2頭と同居させる。

ことを計画しています。

 

なかなか思いどおりにペアリングが進まなくてもどかしいのですが、

あせらずじっくりと取り組んでいきたいと考えています。