緊急保護

2003年、ナゴヤダルマガエルの生息地が開発のために消失することになりました。この時点で広島県内において確認されていたナゴヤダルマガエルの
生息地
は、この消失する場所を含めて2か所であったため、緊急避難的に、そこに生息していたナゴヤダルマガエルを捕獲し、生息域外保全を図ることにしました。
捕獲が10月末だったので、すぐに冬眠用のケースに収容し、冬眠させました。
飼育と繁殖

飼育及び繁殖のための水槽を屋外に設置しました。
飼育繁殖用水槽は99×75×48cmのプラスチック容器を使用し、泥の陸地と水場を半々程度設置しました。また、水槽上部から水道水を少量ずつ滴下し、
底から5cm程度の高さでオーバーフローさせて排水しています。この屋外水槽で産卵した卵は屋内の水槽に移します。


5月下旬から6月上旬にかけて抱接、産卵行動が見られます。右写真の水草の下に見えるゼリーに包まれた黒い点。


写真左:産卵から約5日後、体長7ミリのオタマジャクシがふ化した。
写真右:ふ化後14日。オタマジャクシが茹でたほうれん草を食べているところ。ほうれん草はゆでる前に農薬を除去するために15分位水洗。水洗後オタマ
ジャクシが食べやすいようにほうれん草がドロドロになるまで煮る。

ふ化後45日で子ガエルに変態。
放流
消失した本来の生息地に代わる新たな生息地を作らなければなりません。 保護に携わる関係者が、過去の生息地域やその周辺で地域の協力が得られる場所を探しました。 その結果、世羅町小谷地区と福山市の近畿中国四国農業研究センターに繁殖したオタマジャクシを放流しています。

オタマジャクシは酸素を入れたビニール袋に入れて運びます。
放流数は
- 2005年 1600匹
- 2006年 3028匹
- 2007年 2000匹
- 2008年 3419匹
- 2009年 5250匹


1回に放流するオタマジャクシは1000−3500頭です。まず田の中にビニール袋ごとつけて、水温がそろってから放すなど注意深く放流します。
上の写真左は小谷地区、右は農業研究センター。