生涯を水の中で暮らす、日本固有の動物


展示施設
■ 「生きた化石」「世界最大の両生類」といわれるのが、このオオサンショウウオ。水の中の岩陰で息をひそめる姿には、思わず見入ってしまいますよ。
■ 山間の渓流や里山の小川などに生息し、夜間に活発に行動し、一生を水の中でくらします。餌は幼生のころは水生昆虫、成体になると、魚類やサワガニ、カエルなどを主食としていますが、基本的に口の前で動くものは何でも食べようとします。
■ オオサンショウウオは日本固有の両生類で、本州では岐阜県より西、九州では大分県に分布しています。特に中国山地の里山を流れる川での確認が多く、広島県内を流れる太田川や江の川にも生息しています。

屋内展示場(はちゅうるい館2階)

■ 室内展示場は、安佐動物公園の調査地である広島県北広島町志路原の川をモデルにしています。水の流れも再現された展示水槽の上流部には、最近の河川改修でオオサンショウウオのために実施された2つの工夫を再現しました。ひとつはオオサンショウウオが川を自由に行き来できるスロープ付の堰です。2つ目にはオオサンショウウオが卵を産み、幼生を育てる人工巣穴です。下流部は自然の川岸を再現しています。
 ここでは安佐動物公園生まれのオオサンショウウオ5~6頭を入れて、水温などをコントロールしながら日本で最初の屋内繁殖に挑戦しています。

   川魚も泳いでいる展示水槽    パイプの配線や冷却器があるバックヤード

■オオサンショウウオは夜行性です。そのため開園時間のほとんどは暗い人工巣穴に入っているのが見られます。川の部分に出て活動をするのは、閉園後の館内の照明を消してからです。   

世界最大のオオサンショウウオ

■ 標本などで確認できる最大のオオサンショウウオは全長150.5cm(体重27.6Kg)です。このオオサンショウウオは1993年に広島県の江の川水系田草川で保護され、高宮町立エコミュージアム川根で飼育されていました。しかし、2002年7月14日に死亡したため、安佐動物公園に寄贈を受けました。現在、動物科学館でその標本を展示しています。全長1mを超すオオサンショウウオは大きいといえますが、各地の生息地でときおり見つかっています。150cmに達した世界最大のオオサンショウウオをぜひ見にきてください。また1991年に兵庫県内で保護されて、2013年まで城崎マリンワールドで飼育されていた個体が、全長150.5cmを記録しましたが、残念なことに同年に死亡してしまいました。

■ アメリカや中国にも近縁のオオサンショウウオがすんでいますが、ヨーロッパでは約3千万年前の地層から、現在のオオサンショウウオの骨格とほとんど変わらない化石が出土しています。これがオオサンショウウオが[生きた化石]といわれる由縁です。昔からその存在が知られている割には、なぞの多い動物です

幼生や卵の展示は「子育ての家」

■ 安佐動物公園では1971年から、オオサンショウウオの研究や飼育に取り組み、1979年から飼育下での繁殖に成功しています。ぴーちくパーク内の「どうぶつ子育ての家」ではオオサンショウウオを年齢別に展示、解説しています。オオサンショウウオの幼生から成体までの成長が観察できるのは全国でもここだけです。


ぴーちくパーク内の「どうぶつ子育ての家」と展示コーナー