域内保全活動

オオサンショウウオを助けた人々

■ これは広島県北広島町(旧豊平町)志路原地区の小さな川の実例です。この地区では水田などの農地整備のために河川改修をすることになりました。しかし、この川にはオオサンショウウオの生息が古くから地元の人々に知られていたために、地元の人々と安佐動物公園とでオオサンショウウオと共存できる川作りを目指し考えました。
■ この川の改修では川底をコンリートにしないで自然のままにしました。このためオオサンショウウオの餌となる水生昆虫や魚など川の生物がすむことができます。
■ 農業用水路を取るための堰堤は40cmの階段状にし、オオサンショウウオが登れるようにスロープをつけることにしました。
■ 川岸にはオオサンショウウオが産卵するための巣穴を6箇所作りました。1985年に人工巣穴を設置しましたが、その年の秋には繁殖が確認され、それ以後今日まで繁殖を続けています。オオサンショウウオの苦しみを知り、地元の人が工夫した結果、オオサンショウウオと人間が共存できる川ができ上がりました。

■ 2002年には地域の活性化に取り組む団体として、「三ちゃんs村」が結成され、翌年には地域の人たちが中心になって「三ちゃんと友だちになる会」が発足し、観察会や雨が降った後には人工巣穴を見に行き、入口をふさいでいる砂をとりのぞいたりしています。地域の人が手を取り合って自然保護を進めるすばらしい取り組みが動き始めました。