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2022/07/29クロサイのへイルストーンについて

 へイルストーンは2年ほど前より、時々前肢の歩様異常を認めるようになり、その都度消炎鎮痛剤を処方することにより改善していましたが、本年1月頃より左前肢の跛行が顕著となり、消炎鎮痛剤での疼痛の緩和も難しくなっていました。2月9日に麻酔下で足の検査を実施しましたが、削蹄処置による一時的な歩様改善に留まり、消炎鎮痛剤の継続的な投与だけでは前肢の炎症の進行を抑えることができませんでした。

 そして、7月13日には左前肢に負重しなくなり、頭を杖代わりにしないと前進できないほど状態が進行し、さらに左前肢をかばうために右前肢も腫れてきました。そんな状態にもかかわらず、ヘイルストーンは放飼場に出たがるために放飼を継続してきましたが、数日前より放飼場に出なくなりました。舎内では自分の体位を変えることは可能で、餌も少量ながらも食べていましたが、ほとんどの時間を寝て過ごすため、体の下側に褥瘡(じょくそう:同じ姿勢で皮膚が地面に接して圧迫されることで生じる床ずれ)ができていました。7月27日には起立困難となり、食欲が廃絶したため、これ以上の苦痛を与えることは動物福祉上、良くないと判断して、安楽殺を選択しました。


 ヘイルストーンは1991年7月30日にサンフランシスコで生まれ、ホノルル動物園に渡った後に1999年3月15日に当園にやってきました。これまでにイヨとの間に1頭、サキとの間に6頭、計7頭を繁殖し、国内だけでなく世界のクロサイの種の保存に貢献してくれました。まもなく31歳の誕生日を迎えるはずでしたが、国内のオスのクロサイ10頭中、上から3番目に当たる高齢期に入っていました。当園のこれまでの飼育個体であるクロ(雄)の死亡年齢44歳、ハナ(雌)の死亡年齢52歳に比べると、30歳のヘイルストーンにはまだまだ頑張ってもらいたかったのですが、足を痛めると1トン以上の体重を支えて生きるのは難しい状況でした。

 これまで、ヘイルストーンを応援してくださった皆様には残念なご報告となってしまいました。