種の保存と研究
動物園の取り組み
- 1.種とは
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種とは互いに交配し、子孫を作りうる遺伝子供給源を共有し、同じ形態と行動を共有する生物の最少単位。現存する種の数は約3000万種と推定される。
哺乳類4100種、鳥類8700種、爬虫類6300種、両生類3000種、魚類23000種、昆虫80万種、緑色植物と菌類30万種以上、その他各種の無脊椎動物や細菌やウイルスなど。(N.マイアーズ) - 2.今なぜ種の保存
が必要なのか -
加速度的な種の絶滅が起こっている。(N.マイアーズ)
生物の種が少なくなるということは、環境が単純になっているということです。単純なシステムは壊れやすいとされています。人間も生態系のなかで生きているので、生物の多様性を残していかなければ私たち自身が絶滅すると心配されています。年代 絶滅速度 備考 白亜紀後期 0.001種/年 大絶滅の時期 1600年~1900年 0.25種/年 1900年 1.0種/年 1975年 1000種/年 2000年 40000種/年
紀元2000年までに現世種の15%~20%にあたる50万~100万種が絶滅するだろう。 (「2000年の地球」)
Today Birds,Tomorrow Men(明日は人類の危機、今鳥たちに起こっていることがやがて人にも起こる)
IUCN(国際自然保護連合)が1980年に世界保全戦略を発表。 - 3.動物園の役割
- 世界動物園保全戦略
1993年に国際動物園長連盟と飼育下繁殖専門家グループ(IUCNの種保存委員会に属する)が、動物園のこれからの役割について小冊子にまとめた。日本動物園水族館協会がこの訳本を発行している。
動物園や水族館が種の保存、遺伝子の多様性の保存、環境学習の面で貢献できることを具体的な指針を示して明らかにしている。
日本動物園水族館協会は従来リクレーション、教育、調査・研究、自然保護の4つの役割を掲げてきた。今日では、特に教育(環境教育)と自然保護(種の保存)を動物園・水族館の主たる目的と位置付けている。 - 4.種の保存をすす
めている機関 -
- ● IUDZG(国際動物園長連盟)
動物園でIUCNの勧告を推進する園長の連盟
各国にSSCをつくり種保存計画を実施
希少動物の国際血統登録を実施
国際動物園年鑑(IZYb)を刊行
- ● ISIS(国際種登録機構) 飼育下の希少動物の国際データバンク
- ● IUCN(国際自然保護連合)
世界保全戦略や新世界保全戦略、レッドデータブックを発表
その配下には次のような機構をもつ。- ○ SSC(種保存委員会)
.....種保存計画(SSP)を立案 - ○ CBSG(飼育繁殖専門家グループ)
.....動物園などにおける希少動物の飼育下繁殖を指導 - ○ RESG(野生復帰専門家グループ)
.....飼育下で繁殖した動物の野生復帰を援助、指導
- ○ SSC(種保存委員会)
- ● WWF(世界自然保護基金,民間)
自然保護への財政的支援 - ● TRAFFIC(野生動植物国際取引調査記録特別委員会、民間)
ワシントン条約が守られているかどうか商取引を監視する民間団体。CITES(ワシントン条約)とは絶滅の恐れのある野生生物を国際的な商取り引きをしないことによって、守ろうとする条約。
- ● IUDZG(国際動物園長連盟)
- 5.日本の動物園
水族館の取組み
(種保存委員会) -
(公社)日本動物園水族館協会は日本の86の動物園と66の水族館が参加(2012年)している組織です。 種の保存を目的として種保存委員会(SSCJ)を設置しています。
日本の動物園水族館で飼育されている希少種約120種あまりを対象に、種別の血統登録書を作成したり、その登録担当者が遺伝的な動物の健康の維持のため動物の交換計画などを作成しています。