top-side03_安佐動物公園について

種の保存と研究

古賀賞

古賀賞とは

古賀賞は国内の動物園水族館に与えられる最高の栄誉です。安佐動物公園はオオサンショウウオとクロサイ、グラントシマウマで古賀賞を3度受賞しました。

(公社)日本動物園水族館協会が動物園・水族館における動物の繁殖の向上に、特に功績のあった業績を称えることにより、展示動物の増殖と種の保存に資することを目的として、昭和62年度から実施しています。
この賞は希少動物の保護増殖に大きく寄与した日本動物園水族館協会元理事長で上野動物園元園長の古賀忠道博士の功績を記念し、同博士からの寄付金を基金として運営されています。

表彰は、次に掲げる分野において、日本動物園水族館協会の理事、顧問等からなる表彰審査会で審査し、顕著な功績または模範として推奨に値する業績のあったものに対して、表彰状、メダルが贈られます。

  1. 飼育下において繁殖させることが困難で世界的にも例の少ない種における繁殖
  2. 複数数世代にわたり多数の繁殖を成功させ、それが遺伝学的にも十分な配慮がなされている場合
  3. 動物舎、飼料、その他飼育管理において独創的な工夫をした結果としての繁殖
  4. 人工授精、人工受胎、人工育成などで、他に例の乏しい独自努力や画期的な開発がなされた結果としての繁殖
受賞歴
第2回古賀賞 「飼育下におけるオオサンショウウオの産卵、孵化、育成」

対象園館と対象者:
広島市安佐動物公園 オオサンショウウオチーム

[写真]古賀賞

内容:
安佐動物公園では1971年の開園当初から、国の特別天然記念物オオサンショウウオの野外調査に取り組んできました。集団で繁殖することなど野外調査によってわかった生態は、飼育下繁殖の試みに不可欠な情報として取り入れられました。
1979年、安佐動物公園では国内で初めてオオサンショウウオの飼育下繁殖に成功し、以後も継続しています。
この功績が認められて、1988年に古賀賞を受賞しました。

第9回古賀賞 「クロサイの継続した繁殖と種の保存への貢献」

対象園館と対象者:
広島市安佐動物公園飼育課 坂本二三、足利和英、大津晴男

内容:
安佐動物公園では1971年の開園以来クロサイを飼育しており、これまでに継続して15頭が繁殖し、世界的にも高水準で、種の保存に大いに貢献しています。また、繁殖を目的として国内外に移動させた9頭の子どもたちも、各地で繁殖に成功しています。これらの功績が認められて、1995年に古賀賞を受賞しました。

良好な繁殖の理由は、新鮮な木の葉など適切な飼料管理、個体間の闘争を回避させるための岩や植栽をもつ放飼場、妊娠期間の確認など注意深い飼育管理、定期的な土入れ替えなどの衛生管理などが積み重なった結果であると考えられます。

第26回古賀賞「グラントシマウマの累代繁殖と個体群管理」

対象園館と対象者:
広島市安佐動物公園 飼育・展示課

内容:
☆第26回古賀賞受賞の根拠となった主な成果は次の4つです。

  • たくさんの繁殖実績が認められ、発情周期や生まれた子どもの体重などの基礎的データをまとめたこと。
  • たくさんの繁殖実績だけでなく、血統の異なる個体を導入して、遺伝的多様性に配慮したこと。
  • グラントシマウマ本来の姿である、群れ構造を追及した展示を、開園以来40年以上にわたり実施していること。
  • 繁殖した個体を国内外の動物園に供給することで、展示を支援してきた。

「グラントシマウマの累代繁殖と個体群管理」について、詳しくはこちら

第36回古賀賞「ケープハイラックスの累代繁殖と個体群管理」

対象園館と対象者:
広島市安佐動物公園 飼育・展示課

内容:
☆第36回古賀賞受賞の根拠となった主な成果は次の3つです。

  • (1) 繁殖について
    1978年に初繁殖に成功して以後、継続して繁殖してきた。その結果、日本有数の繁殖実績を誇るとともに、繁殖した個体を国内の18園館に搬出するなど、ケープハイラックスの供給基地としての役割を果たしている。
  • (2) 個体群管理
    群れでの飼育を可能にするため、展示場や寝室には多くの退避場所や避寒場所を作る等の工夫を行った。また、別血統の個体を導入し、遺伝的多様性の維持にも努めている。
  • (3) 生態の解明についての取り組み
    継続した飼育から得られた知見をもとに生態の解明に取り組んできた。近年はマイクロチップによる識別に加え高度な識別スキルを必要とする目視での個体識別を行うことで、仔の取り違いや雌の発情時期が同期すること等を解明し、これまでに計12本の研究論文を発表した。
過去の古賀賞一覧
 
回(年度)
受賞者業績件名
第1回
(昭和62年度)
東京都多摩動物公園アミメキリンの繁殖と繁殖群の維持
京都市動物園ローランドゴリラの繁殖(2世および3世)
国営沖縄海洋博記念公園水族館ネムリブカの水槽内2世代繁殖
第2回
(昭和63年度)
広島市安佐動物公園飼育下におけるオオサンショウウオの産卵、孵化、育成
東京都恩賜上野動物園ジャイアントパンダの繁殖
第3回
(平成元年度)
該当なし
第4回
(平成2年度)
東京都多摩動物公園ニホンコウノトリの繁殖
第5回
(平成3年度)
該当なし
第6回
(平成4年度)
鹿児島市平川動物公園アマミノクロウサギの飼育研究
東京都多摩動物公園各種昆虫類の飼育法の開発および飼育下での累代繁殖による展示
第7回
(平成5年度)
江ノ島水族館クラゲ類の飼育繁殖
第8回
(平成6年度)
東京都井の頭自然文化園カモ類の繁殖
第9回
(平成7年)
広島市安佐動物公園クロサイの継続した繁殖と種の保存への貢献
第10回
(平成8年度)
滋賀県立琵琶湖文化館
日本産希少淡水魚の継代繁殖(アユモドキ、イタセンパラ、ニッポンバラタナゴ、ゼニタナゴ、ヒナモロコ、ウシモツゴ)
第11回
(平成9年度)
串本海中公園センタームラサキハナギンチャク繁殖個体の放流による自然個体群回復の試み
第12回
(平成10年度)
東海大学海洋科学博物館ハリセンボンほか海産硬骨魚類の水族館における繁殖と育成
第13回
(平成11年度)
該当なし
第14回
(平成12年度)
該当なし
第15回
(平成13年度)
東京都井の頭自然文化園ニホンリスの累代飼育と新たな展示手法
第16回
(平成14年度)
ふくしま海洋科学館サンマの累代飼育と展示
第17回
(平成15年度)
福岡市動物園飼育下におけるツシマヤマネコの繁殖
第18回
(平成16年度)
鴨川シーワールド人工授精によるバンドウイルカの繁殖
第19回
(平成17年度)
京急油壺マリンパークキタイワトビペンギンの飼育下二世代繁殖
第20回
(平成18年度)
東京都多摩動物公園チンパンジーの累代繁殖、血統登録業務ならびに各種エンリッチメントの開発
第21回
(平成19年度)
名古屋港水族館ナンキョクオキアミの長期飼育と継代繁殖
釧路市動物園傷病保護個体の活用による北海道産タンチョウの累代繁殖
第22回
(平成20年度)
鶴岡市立加茂水族館オキクラゲ、その他クラゲの累代繁殖
第23回
(平成21年度)
東京都多摩動物公園トキ類の累代飼育繁殖
第24回
(平成22年度)
名古屋港水族館アカウミガメの繁殖と保護活動
第25回
(平成23年度)
該当なし
第26回
(平成24年度)
広島市安佐動物公園グラントシマウマの累代繁殖と個体群管理
鳥羽水族館オウムガイとオオベソオウムガイの繁殖
第27回
(平成25年度)
京都市動物園ニシゴリラの3世代累代繁殖
第28回
(平成26年度)
鳥羽水族館スナメリの飼育下繁殖と人工哺育
第29回
(平成27年度)
愛媛県立とべ動物園アフリカゾウの繁殖と群れでの飼育
横浜市立よこはま動物園カンムリシロムクの血統管理に基づく累代繁殖および野生復帰事業について
第30回
(平成28年度)
該当なし
第31回
(平成29年度)
アドベンチャーワールドブリーディングローン制度を利用したジャイアントパンダ日中共同繁殖研究の推進
第32回
(平成30年度)
該当なし
第33回
(平成31年度)
該当なし
第34回
(令和2年度)
該当なし
第35回
(令和3年度)
名古屋市東山動物園新種のメダカ魚類発見とその累代飼育
第36回
(令和4年度)
広島市安佐動物公園ケープハイラックスの累代繁殖と個体群管理
横浜市立よこはま動物園腹腔鏡下卵管内人工授精技術を用いたツシマヤマネコの飼育下繁殖