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2026/10/08論文発表!オオサンショウウオの「ヌシ」に迫る!

こんにちは!爬虫類担当 じゃい です。

 

今回は、私たちが長年取り組んでいるオオサンショウウオの研究についてご紹介します。

 

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安佐動物公園は、国の特別天然記念物であり絶滅危惧種でもあるオオサンショウウオを守るため、広島県内での生態調査を1971年の開園当初から続けてきました。

 

その過程で、世界で初めてオオサンショウウオの産卵の様子を観察することに成功しました。「ヌシ」と呼ばれる1頭の大きな強いオスが1つの繁殖巣穴を守ること、その巣穴にやってきた複数の雌が順々に産卵することと、「ヌシ」は孵化した幼生が旅立つまで半年近くも巣穴を守り続けること、などなどオオサンショウウオのユニークな繁殖の全貌を明らかにしました。

 

さらに、この観察結果を参考にすることで、日本初の飼育下繁殖にも繋げることができました。謎が多かったオオサンショウウオの生態は、安佐動物公園の大先輩達が解明してきたのです!

 

(詳しくは、『オオサンショウウオを知る・守る・そして共に~』をご覧ください!)

   

2002年からは、捕獲した野生のオオサンショウウオにマイクロチップを挿入してから再放流する「標識再捕獲調査」を開始しました。マイクロチップには1つ1つ異なるIDが記載されているので、次回捕まえた時にもIDを確認すれば、いつ捕まえた個体だったのかがわかります。これによって、どの個体が、いつから調査区画内で生活し続けているのか、どこからどこへ移動しているのかを、追跡できるようになりました。

 

(調査の様子はAsaZoo公式YouTubeをご覧ください!)。

 

そして今回、2024年までに溜まった22年間・205個体・596件のデータを分析し、その成果を国際専門誌に論文として発表することができました!!論文中では...

 

  1. 繁殖巣穴を守った「ヌシ」個体が、翌年以降も同じ繁殖巣穴を何度も占有することがある
  2. 同じ「ヌシ」による巣穴占有はおよそ6年連続で続いた後、次の「ヌシ」に交代する傾向にある
  3. 「ヌシ」 になる個体は、巣穴に近い区域で成長して「ヌシ」になる場合と、大きくなった後に別の支流から移動してくる場合、どちらの可能性もある
  4. オスはメスよりも広い範囲を移動する傾向にあり、移動距離には雌雄差や個体差が大きい

 

などの知見を示すことができました。

 

寿命が60年以上と言われるオオサンショウウオの生態を詳しく知るには、一人の研究者が調べるだけではとても時間が足りません。今回の成果は、安佐動物公園が長きに渡って調査を続けてきたからこそ、初めて明らかにできたものなんです。

 

同時に、毎年巣穴を巡って移動するオオサンショウウオが適切に繁殖するためには、彼らが上流と下流、本流と支流を自由に移動できるような河川環境を保つことと、繁殖巣穴の周辺環境を維持することが必要だということもわかりました。

 

ところが、現在オオサンショウウオが生息する里山の河川は、取水のためのダムができたり、水害対策のために河岸がコンクリートで舗装されたりと、オオサンショウウオの生活、移動、繁殖が難しい環境に変わりつつあります。このままでは、近い将来にオオサンショウウオは絶滅してしまうかもしれません。

 

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実はこうした流れを食い止めるため、安佐動物公園が調査をしている北広島町では、オオサンショウウオが登れるスロープ付きの堰堤や、繁殖可能な人工巣穴を備えた護岸など、オオサンショウウオに配慮した河川工事が実施されています*。上の写真は、地元の方々の協力を受けて毎年行っている、人工巣穴の掃除の様子です。この掃除の甲斐もあって、ほとんど毎年オオサンショウウオが産卵にやってきます。今回の調査も、この人工巣穴のおかげで「ヌシ」を観察することができれました。

 

このように、オオサンショウウオなどの河川にすむ生物に配慮した河川管理の方法を模索する動きが、広島県では少しずつ進んでいます*。人間の営みは守りつつ、オオサンショウウオのことも守れるような、共存できる方法を見つけられたら良いですよね。

 

その方針を立てるためには、オオサンショウウオがどこでどうやって生活しているのか?どこからどこへ、どのぐらいの頻度で移動しているのか?という基礎的な知見がまだまだ足りません。彼らのことをもっと知り、上手に守れるようにするため、これからも安佐動物公園は調査を続けていきます。

 

今後とも応援よろしくお願いします!

 

じゃい

 

 

【論文タイトル】Insights into Den Occupancy and Den-Master Turnover of the Japanese Giant         Salamander (Andrias japonicus) from a 22-Year Monitoring Program in the         Shijihara River, Hiroshima.

【 掲載雑誌 】Zoological Science 43(6) https://doi.org/10.2108/zs250112

【 論文著者 】Wataru Anzai, Noriyuki Nonoue, Koshiro Hara, Mizuki Kittaka, Hiroshi Kamada,         Nobuyoshi Minamigata, Katsuhiko Abe

 

 

* 南方 1999. 松歳川のオオサンショウウオ用人工巣穴および人工段差の利用状況について.

  https://doi.org/10.69229/asazoo.24.0_3

** 広島県ウェブサイト https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/99/oosannsyouuo-kentou-3.html