2020/06/14忘れないでね、ハイラックスのこと3
皆様、こんにちは!ハイラックス担当です。
今回はハイラックスの『群れ』について紹介していきます。
彼らは群れで暮らす動物ですが、その群れの規模は住む場所の広さに依存しており様々のようです。
なので、ここではFourie (1983) * に記載されている一例を紹介します!
まず、群れのメンバーはこちら!!
群れを支配している強いオス。基本的には年齢が高い。
他のオスが群れのメスと交尾しないように追い払う。
縄張りオスと交尾することが多い。群れの中に複数いるが、明確な順位はない。
しかし、最年長の大人メスは警戒音を出すことが多く、捕食されるリスクが高い役割を担う。
1~2歳の性成熟した個体。中には群れを離れる個体もいる。特にオスは交尾期に縄張りオスに攻撃され、追い出されることが多い。若いメスは単独オスと交尾することがある。
0~1歳の性成熟していない個体。10ヶ月程度で群れから離れる個体も出てくる。産まれたばかりの時は母親や他の母子といることが多い。
そして群れの近くにはこのような個体も・・・
群れから離れたオス。複数の群れの周辺を行き来することがある。単独オス群を作ることは確認されていない。群れの近くにいることで、若メスとの交尾を狙っているだけでなく、天敵の発見がしやすい。
また、闘争によって縄張りオスの地位を奪うこともある。
では彼らの活動範囲はというと・・・
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こんな感じだそうです!
前回の記事にあるように、彼らはのんびりとした暮らしをしている動物なので、
それほど活動範囲は広くないようです。
中心部に縄張りオスと大人メス、その周囲に若い個体となっています。
さらに、睡眠する場所も縄張りオスたちは若い個体と離れており
若い個体に攻撃されないようにしているとか・・・
そこまでするかと思わず感心してしまいます。
一見ただ群れているように見えて実はしっかりとした順位制があるんですね!
*あくまで一例ですので群れによって違いはあるかもしれません。
ちなみに・・・
安佐動物公園では、現在60頭のケープハイラックスを飼育していますが
明確な群れ構造はありません。
しかし、天敵(ヒト)に対して威嚇してくる個体(メス)が決まっていたり、
交尾期には闘争が激しくなったり
野生での暮らしの一部を見ることもできます。
今年も5月末から交尾期に入り、長年強かった最年長のオス「エネゴリ」がとうとう負けてしまいました。
そのせいか例年より闘争が激しくなった気もします。
次のトップを狙った争いが起きているのかもしれませんね。
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最年長(10歳)のオス「エネゴリ」
動物園でもゆっくり観察すれば、こんな風に個体同士の関係が見えてくるかもしれませんよ!
ハイラックスは現在非公開ですが、他の動物たちをぜひゆっくり観察してみてください!
次回は食べ物についてです!お楽しみに!
*Fourie,L.J.(1983):The population dynamics of the rock hyrax procavia capensis (Pallas,1766) in the Mountain Zebra National Park :PhD thesis,Rhodes University,South Africa.