2020/06/14はちゅうるい館の仲間たち(12)コロンビアレインボーボア
皆さんこんにちは、じゃいです。
梅雨に入ったからか、ジメジメした日々が続いていますね。
洗濯物も乾かず嫌な季節ですが、ヘビたちにとっては良い気候だったりもします。
ということで今回は、コロンビアレインボーボアを紹介します。
南米に広く生息している、レインボーボアもしくはニジボアと呼ばれる仲間の1種です。
レインボーボアの仲間には全部で5種が知られており、
コロンビアなど南米大陸の北部に生息しているのがこの種 (Epicrates maurus)です*。
他のレインボーボアに比べると、斑紋がなく、体色も褐色でやや地味なことが特長です。
一見、茶色っぽくて地味なこの体ですが、鱗に光があたると虹色の光沢が表れます。
この光沢が、レインボーボアという名前の由来になっています。
とはいえ、レインボーボアの皮膚が虹色に発色しているわけではありません。
皮膚の表面に細かい凹凸があり、光が反射することによって、角度によって虹色に見えています。
CD・DVDの裏面や、シャボン玉の色が見る角度によって変わるのと、同じ仕組みなんです。
このように、それ自身に色がついているわけではないけれど、
光の反射によって色づいて見える仕組みを「構造色」といいます。
レインボーボアの構造色は、脱皮した直後が最も鮮やかです。
脱皮してしばらくすると、表面が傷付いたり、細かい塵が溜まったりして、
反射するための細かい凹凸の形が変わっていってしまうからです**。
形が変わってしまうこともあり、脱皮した抜け殻は残念ながら光りません。
以前ビルマニシキヘビの記事でも脱皮のことを話題にしましたが、
「ヘビ」といえば脱皮や抜け殻を思い浮かべる方も多いかもしれませんね。
脱皮するヘビを見て、死んだのに生まれ変わった!と思った昔の人は多いようで、
メソポタミア文明ではヘビが不老不死や再生の象徴となっていたり、
ギリシャ神話でヘビの巻き付いた杖が医療・医術のシンボルマークになっていたりします。
日本でも、ヘビの抜け殻をお守りとして扱うことがありますよね。
そんなありがたいイメージもあるヘビの脱皮ですが、ヘビを飼育する上では要注意ポイントの1つです。
個体によっては数週間かけてゆっくり脱皮をするのですが、その間はエサを食べません。
乾燥しているとうまく脱皮できず、抜け殻が体に残ってしまい、そこから膿んでしまうこともあります。
ヘビの健康を維持するために、脱皮中は特に彼らに気をつけてあげないといけない期間なんです。
そうした「脱皮不全」のトラブルが起きないよう、ヘビの脱皮の兆候を見逃さないのも担当者の仕事です。
ヘビが脱皮の準備を始めると、体の全体が白っぽくなります。
左の写真は脱皮前のビルマニシキヘビ、右の写真はボールニシキヘビです。
全体的に白っぽくなりますが、特にわかりやすいのは目です。
ヘビは目も透明な鱗で覆われていますが、古い皮を脱ぐ準備を始めると、
その下にできている新しい皮との間に隙間ができるので、白く濁ってみえるんです。
種類によっても違いますが、ヘビの脱皮はだいたい2~3ヶ月に1回です。
現在はちゅうるい館では、ぜんぶで15匹の蛇を展示していますので、
よーく探すと、いつでも1匹くらいは白い目をしている個体がいるかもしれません。
各個体の目をじっくり観察して、脱皮中の個体を探してみるのも楽しいかも、ですよ!
合わせて、コロンビアレインボーボアの光沢も、じっくり見てみてくださいね。
それでは、また次回!
じゃい
* www.reptile-database.org 過去にはレインボーボア (Epicrates cenchria) の1亜種 (E. c. maurus) とする説もありましたが、現在は独立種として扱われています。
** リリーホワイト, 2019. ヘビという生き方. 監訳 細将貴, 東海大学出版, 264p.