2020/08/14忘れないでね、ハイラックスのこと6
皆様こんにちは!ハイラックス担当です。
今回はハイラックスの子育てについて紹介していきます。
ハイラックスは哺乳類なので、子は母親の乳を飲むことで成長します。
しかし、前回の記事で紹介したとおり、
妊娠期間が長く、比較的成長した状態で産まれてくるため、
生後わずか数日で、親と同じ木の葉や野菜などもかじるようになります。
授乳は個体によっても違いますが、数ヶ月ほど続きます。
出産した母親は、警戒心が強く子を守ります。
しかし、もう一つ、子の成長にとって大切なものがあります。
それは・・・
" nersery group "とよばれる、"保育園"のような群れです。
ハイラックスの群れの雌は、同時期に出産しますが
同時期に産まれた子は、このようにまとまって暮らすことが多いようです。
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当園でも約1~2か月間にまとまって出産が行われ、"保育園"らしき群れが見られます。
この写真は2019年1月19日に当園の公式ツイッターでアップした動画の一部です。
中には、数頭の大人雌と複数の子がいるのがわかります。
まだ見ていない方はぜひチェックしてみてください!!
この"保育園"では、母親がエサを食べに行く間、他の雌が子達を見守ったり*、
自分の子以外にも授乳することがあるようです**!
さらに、そこでは子同士が追いかけあいをするなど
他個体とのコミュニケーションにも役立っているんだとか***・・・
この"保育園"がとっても大切なのがわかりますね。
面白いですよね~
最後にもう一つ!面白い生態を紹介します!
出産した後の雌と子が、こんな風になることがあります***。
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母親の背中に乗っていますね。
(私はまだ実物を見たことがないので、イメージでお届けします。)
なぜこんなことをするのでしょうか。
ケープハイラックスとは違いますが、
同じ属に分類されるジョンストンハイラックスで
いくつか考察されているので紹介します**。
①母と子の絆を強くするため。
ハイラックスの背中には臭腺と呼ばれるにおいが出るところがあります(下図)。
子が背中に乗ることで母親のにおいが付き母子の絆が強まると考えられています。
②群れの他個体から受け入れてもらうため
③身を守るため
ハイラックスは寒いときなど、団子状態になります(下図)。
母親の背中に乗っておくことで、この中で潰されずにすむようです・・
④体温維持のため
ハイラックスは体温調節があまり上手ではありません(以前の記事参照)。
特に、子は体が小さく、あっという間に体が冷えてしまいます。
そのため、外気温の影響を受ける岩肌よりも
体温がある程度安定している母親の上にいることで
子の体温が奪われにくくなるそうです。
以上が背中に乗る行動の理由として考察されています。
いつかこの目で見てみたいものです・・・
さて、今回は少し長くなりましたが、これで終わります。
次回は、暮らしまとめの予定?です。お楽しみに!
HR
*Mendelssohn,H.(1965):BREEDING THE SYRIAN HYRAX Procavia capensis syriaca Schreber 1784:International Zoo Yearbook,5(1):116-125.
**Sale,J.B.(1965):Observations on Parturition and Related Phenomena in the Hyrax (Procaviidae).:Acta tropica,22(1):37-54.
***Fourie,L.J.(1983):The population dynamics of the rock hyrax procavia capensis (Pallas,1766) in the Mountain Zebra National Park :PhD thesis,Rhodes University,South Africa.