2020/08/08オオサンショウウオの巣穴掃除!
梅雨も明けてスッカリ夏本番になりましたね。
8月と言えば・・・・・・、
そう 『オオサンショウウオの産卵シーズン』です!
調査地にあるオオサンショウウオの人工巣穴を
掃除してきたのでレポートします。
安佐動物公園は北広島町の志路原地区で
1973年から47年間継続調査してきました。
そこには人工巣穴が設置されていて、
毎年8月末から9月上旬に産卵が見られます。
オオサンショウウオの継続した産卵に必要なのが
『巣穴の掃除』です。
オオサンショウウオは夜行性の動物で、
昼間は大きな石の下や川岸のくぼみに隠れています。
そういった普段の隠れ場所と違って、
産卵には特別な巣穴が必要なのです。
当園は、動物公園内の保護増殖施設で成功した産卵用の人工巣穴を
調査地に設置して、保全活動を続けてきました。
ただし、増水などによって土砂が巣穴内に堆積すると、
産卵に使えなくなってしまいます。
そこで、毎年、地元のオオサンショウウオ保護団体「三ちゃんS村」、
新庄中学の生徒さんたちと協働した保全活動を続けています。
人工巣穴は直径60cmほどのコンクリート製なのですが、
直径15cmほどの塩ビ管を通って、
オオサンショウウオがその中に入れるようになっています。
巣穴の中に溜まった土砂を掻きだすために使うのは、
長い柄の先に半月状の金属が付いた特製の巣穴掃除棒!
これを抜き差ししながら、
巣穴内の土砂を掻きだしていきます。
人工巣穴を囲うように作られた小屋のなかにも、
土砂がたくさん入ってきていました。
フタをしている下に、巣穴がありますよ。
巣穴の中は、こんな感じ。
この写真は、去年の9月に撮影した、産卵後の様子です。
「ヌシ」と呼ばれる強いオスが卵を守っています。
棒で掻きだすだけでなく、
ポンプを使って巣穴内に水を流し込んで、
土砂を洗い出します。
初めのうちは、モクモクと濁った水が巣穴入口から出てくるのですが、
だんだんと綺麗な水が出てくるようになります。
人工巣穴はいくつも設置されているため、
産卵実績の高いところを中心に掃除しました。
掃除をしながら、
巣穴の近くに石積みをみんなで作りました。
大きそうな石を探して、
リレーをしながら積み上げていきます。
さて、この石積みは何に使われるでしょう?
これが完成した石積みです。
それぞれの人工巣穴の周りに
数か所ずつ作りました。
この石積みは、弱いオスや産卵前のメスのための隠れ場所です。
ヌシは巣穴の周りをパトロールして
近づいてきた他のオスを攻撃します。
しかし、産卵直前のメスは
攻撃されず巣穴に入ることができます。
このタイミングを見計らって、弱いオスも巣穴に入り、
放精に加わることができるのです。
昨日、三ちゃんS村の村長さんからお電話があり、
早速、掃除をした巣穴にヌシが入ったとのことでした!
みなさん、今年も産卵の報告を楽しみにしておいてくださいね。