2021/08/11忘れないでね、ハイラックスのこと12
皆様こんにちは!ハイラックス担当です。
さて、今回は「感覚毛(かんかくもう)」について紹介していきます!
感覚毛といってもあまりピンと来ないかもしれませんね。
多くの動物に存在している、毛状の感覚器官のことで、
「洞毛(どうもう)」や「血洞毛(けつどうもう)」とも呼ぶようです。
※ここでは、文字から理解しやすい「感覚毛」とします。
つまり、私たちの指先のように、感覚毛に物が触れると
その刺激を受け取ることができ、「触った」という感覚を得るというわけです。
この感覚毛は、主に口周りに多く存在しています。
最もイメージしやすいのは、ネコの「ヒゲ」ではないでしょうか。
この「感覚毛」ですが、ハイラックスの顔にもたくさんあります。
あごにも発達した感覚毛があるのが分かりますね。
そして、驚くべきことに、ハイラックスにはこの「感覚毛」が
全身にわたって生えているのです!!*
分かりにくくてすみません・・・目を凝らしてご覧ください。
では、なぜ全身に感覚毛が生えているのでしょうか???
ハイラックスは、主に岩山の隙間などで暮らします。
そこは天敵が入ってきにくい、環境変化が少ないなどのメリットがありますが
暗い、狭いといったデメリットもあります。
こうした環境で役に立つのが、この「感覚毛」なのです!
ハイラックスは、暗く狭い環境で、この感覚毛を駆使して
方向や空間の広さを認識していると考えられています!*
また、他個体や天敵が近づいたときに、早く気づくことにも
役立っているのではないかとも考えられているようです。*
動物の体って本当に面白いですよね~~
さて、話は変わりますが、現生するハイラックスの仲間の大きさは
だいたいケープハイラックスと同じく小型です。
しかし、今から約4000万年前頃には、メガロハイラックス Megalohyrax eocaenus
と呼ばれる、バクくらいの大きさにもなる種がいたとも言われています。**
バクくらいのハイラックスとは・・考えただけで恐ろしい・・・
ハイラックスの仲間は、ウサギ大からバク大まで、様々な大きさに多様化し
アフリカで繁栄していたようですが、ウシ科の動物がアフリカに侵入したことで
衰退してきたようです。**
その中で、ケープハイラックスの祖先は、岩山という過酷な環境を選択し、
足の裏や感覚毛を発達させ、生き残ってきた・・・・
のかもしれませんね。(個人的な解釈です)
こんな想像をしてみるのも面白いですよ!
以上で体編は一旦終わります。
次回からは、動物園での「飼育」に着目していきます!
お楽しみに!
HR
*Sarko,D.K., Rice,F.L., Reep,R.L.(2015): Elaboration and innervation of the vibrisal system in the Rock hyrax(Procavia capensis). Brain, Behavior and Evolution, 85:170-188.
**冨田幸光, 伊藤丙雄, 岡本泰子(2019): ゾウのなかまとその近縁有蹄類. In 新版 絶滅哺乳類図鑑:212-226, 丸善出版株式会社, 東京.