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2020/10/09ペンギンぷーるの日常③ 換羽

ペンギンぷーるからこんにちは!

猛暑の日々から一転、秋らしい日が続いています。

この夏の間にペンギンたちの換羽が終わりました。

例年、7月から8月にかけて、ごっそり羽根が抜け替わります。

魚を餌とするペンギンたちにとって、撥水、保温機能のある羽根がないときは海に入らず、絶食します。

また新しい羽根を作るためにたくさんのエネルギーが必要です。

だから、換羽前に食いだめして備えます。

トップバッターは"あーちゃん"だったのですが、今年は食いだめ開始が遅く、羽根が抜け始めると同時にもりもり食べ始めました。

たいてい1日にアジ12匹ぐらいですが、その倍の20匹以上も食べます。

7月5日に羽根が抜け始めているのを確認し、7月14日にはお腹や背中の一部がごっそり抜けていました。

20200823_002脱羽根背中.JPG

20200823_003脱羽根腹部.JPG

20200823_004羽づくろい.JPG

(換羽中は羽根の手入れも入念で)

食いだめ開始が遅かった"あーちゃん"。

それまでもりもり食べていましたが、7月15日から1日に6匹程度しか食べなくなりました。

換羽真っ只中は動きも緩慢、食欲が落ち、見るからにしんどそうになります。

"あーちゃん"もいつもの気の強さがなくなり、じっとしていることが増えました。

その後、頭部なども抜け、7月24日、見た目にはほぼすべての羽根が抜け落ちました。

しばらくは食欲もないまま、細かい羽根が抜け続けます。

8月4日から再び食欲が上昇し、1日に15匹ほど食べるようになりました。

野生では換羽によって体重が30%減少するというデータがあります。

もりもり食べて、失った体重を取り戻しているようです。

"あーちゃん"に続き、他5羽の換羽も無事に終了しました。

換羽中は、普段羽根に隠れて見ることのできない抱卵斑や尾脂腺が見えます。

20200823_006抱卵斑.JPG

(下腹にある縦線が抱卵斑、羽根がなく、直接体温を卵に伝えることができる)

20200823_007尾脂腺.JPG

(お尻のドーナツ状のものが尾脂腺、羽根を手入れするための分泌物が出る)

"あーちゃん"たちの食欲も元に戻り、これからは繁殖期に入ります。

換羽で元気のなかったペンギンたちも騒がしくなってきましたよ。

(いち)