2021/10/29忘れないでね、ハイラックスのこと17
皆様こんにちは!ハイラックス担当です。
歴史編も今回がラスト!ハイラックス舎の「今」を紹介します。
当園はハイラックスの累代繁殖や繁殖拠点としての役割など多くの業績を残してきましたが、
2つの大きな課題があります。
課題の1つ目は、「遺伝的多様性の維持」です。
同じ群れで繁殖し続けると、遺伝的多様性が低下してしまう恐れがあります。
そこで、動物園では、園館同士で動物の交換や貸し借りを行い遺伝的多様性の維持に努めています。
ハイラックスも例外ではなく、安佐動物公園では1994年、1997年、2017年に他園から別血統の個体を導入してきました。
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2017年に導入した2頭のメスを群れとケージ越しに見合いさせる様子。
ところが、当園では複数のオスを含めた群れ飼育をしていること、ハイラックスの群れではメスが同時期に出産することから、血縁関係を把握するのはとっても難しいのです・・・
そんな中、2019年の出産第1号は導入したメス(愛称:ニタカ)だったため、
すぐにマイクロチップを挿入し、無事に個体識別をすることができました。
2020年にもニタカは出産し、今では新たな血統が入った3頭の子がすくすく成長しています。
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上)2019年に確認された出産直後のニタカ(奥)とその子ども
下)今年の3月に撮影した2019年産まれのトビ(ニタカの子)
課題の2つ目は、「個体密度の高さ」です。
これまで数多くの個体を搬出してきましたが、近年では他の園館でも
ハイラックスの繁殖が普通に行なわれるようになり、搬出先が少なくなってきたのです・・・
ハイラックスは交尾期にオス同士のケンカが激しくなるため、個体密度が高くなりすぎると健康に飼育することが難しくなる可能性もあります。
そこで、今年から仮獣舎を2つに分離できる構造にしてみました!
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現在の仮ハイラックス舎。真ん中には開閉式の扉を設置し、仕切ることができる。
個体密度についてはこれからの課題になりますが、
これによって、繁殖制限をかけやすい・怪我した個体や新たな血統個体を隔離しやすいなどのメリットがあります。
これからもハイラックスたちが健康に暮らせるよう、様々な工夫をしていきたいと思います!
しばらくは非公開が続きますが、どうか忘れないでくださいね!
HR