飼育係のasazooブログ! 動物の様子や飼育の話題など安佐動物公園の日々の様子を飼育係がお届けします!

2021/04/09ペンギンぷーるの日常⑧ 来シーズンに向けて

前回のブログで期待して待っていた皆様

ご報告が遅くなり、すみません。

1月30日、2月2日に"らー"が産卵した卵は、ともに未発生でした。

交尾がうまくできていなかったのでは、と思われます。

孵化予定日を過ぎても変化がなかったため、卵を取り上げて検卵しました。

もし発生していたら、暗室で卵に明かりを当てると、血管や身体が透けて見えます。

しかし、それらしきものは見えず・・・

意を決して、中を見ることにしました。

20210409_001.JPG

まずは、卵の鈍端を解剖用のはさみで切っていきます。

20210409_002.JPG

このように穴を開けたら、中身を出します。

20210409_003.JPG

やはり、まったく発生していませんでした・・・

ペンギンの雌は、卵を抱いていないと、すぐに次の産卵に向けて体が準備を始めます。

何度も産卵すると、体力を消耗するため、取り上げた翌日から擬卵*を抱かせていました。

しかし、抱卵を始めておよそ70日。

もし受精卵であれば42日で孵化します。

"黒"と"らー"のペアは、自ら踏ん切りをつけたかのように、4月8日には擬卵を抱かなくなりました。

こうなっては、擬卵を置いておく意味がないので、擬卵も取り上げました。

さっそく、2羽は来シーズンに向けて、愛を育んでいます。

20210409_004.JPG

黒(左)がらー(右)を羽づくろいしています。

仲むつまじい様子に、掃除の手を止めて見入ってしまいました。

*擬卵:動物の卵に似せて作られた偽の卵。当園のペンギンでは、産卵した卵

の内容物を取り除き、洗浄後、石膏を入れて固めたものを使っています。

今回の2卵も擬卵に作り変えて、今後役立ってもらいます。

(いち)