飼育係のasazooブログ! 動物の様子や飼育の話題など安佐動物公園の日々の様子を飼育係がお届けします!

2021/08/25スローロリスの赤ちゃんの成長②

こんにちは。はちゅうるい館1階 夜行性動物担当の、ひーです。

 

このたびの大雨により被害を受けられたみなさま、心よりお見舞い申し上げます。

一日も早い復旧と、みなさまのご健康を心からお祈りしています。

  

動物園は、園へ通じる県道が土砂崩れにより不通となり、現在は臨時休園しています(※)。

今はみなさんとお会いすることができませんが、動物たちは元気にしています。

※【8月27日時点】通行止めは解除されましたが、緊急事態宣言にともない臨時休園は継続中

 

 

さて、スンダスローロリスの赤ちゃんは産まれて40日ほどが経ちました!

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8月15日(生後32日目)に撮影した写真です。

産まれた時は、50gほどだった体重も130gを越えました。

   

後肢でぶら下がるような格好をし、最近は父親のショウヘイに対して、

毛づくろいをしているのを観察しました。とても元気に成長しています。

 

 

今日は、となりの展示場で暮らしているヒロについてもお話したいと思います。

 

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ヒロは、野生で産まれたと思われる個体(正確な出自がわからない)で、

スーツケースに入れられて密輸されようとしていたところを、

関東の空港で保護され、安佐動物公園にやってきました。

  

スローロリスは、その見た目の愛くるしさからペット目的で乱獲され、

また生息環境の悪化も重なり、絶滅が危惧されています。

ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)により、

商業目的のための国際取引は原則禁止されている動物です。

 

保護された当時は、まだ人の手の平大の大きさ(現在はちゅうるい館で暮らす赤ちゃんと

同じくらいの大きさ、生後1カ月ほど)でした。

密輸の途中で命を落とす動物たちも多く、

人間の都合により、本来の生息地から引き離された動物たちが里帰りすることは、

簡単なことではありません。

 

 

このような現状をお伝えすること、絶滅のおそれがある生物たちを守っていくこと

(種の保全を行うこと)は動物園の大切な役割です。

 

『動物園は自然からやってきた動物大使を預かり、動物を楽しみ学ぶ場所』

これは安佐動物公園の基本理念の冒頭部分ですが、時折思い出しては胸に刻んでいます。

 

ヒロをはじめ、動物園の動物たちを通して伝えていきたいと思います。

                        ひー