2020/06/21はちゅうるい館の仲間たち(13)アオダイショウ
皆さんこんにちは。じゃいです。
今日も多くの方に来園していただいています。
コロナ対策も大事ですが、そろそろ熱中症対策も必須になってきました。
その場その場で、マスクを外したり、水分をとったり、お気をつけてお楽しみいただければと思います。
さて、13回目となる今回は アオダイショウ をご紹介します。
おそらく皆さんが最もよく目にする野生のヘビが、このアオダイショウなのではないでしょうか。
実は世界中で日本にしか生息していない、日本の固有種です。
とはいえ国内では沖縄を除くほとんどの地域に生息しており、また本土では最大のヘビです。
低地から山地にかけて、森林、農地、水辺、さらには住宅地まで幅広い範囲で活動しているため、
日本人にとって目にする機会が最も多いヘビと言えるでしょう。
特に夏になると、動物園内でも野生のアオダイショウに遭遇することが多々あります。
ちなみにこのアオダイショウ、体色や模様の個体差がとても大きいヘビです。
主に暗い黄褐色から黒緑色と言われていますが、地域によって青みが濃い個体が多かったり、
黒っぽい縦縞模様をもつ個体がいたり、縞がまったく見られない個体がいたりします。
また、子供のころ(幼蛇:ようだ)は大人と違う模様をもっています。
これも個体によりますが、灰色~茶色っぽい体に、褐色の斑紋が入っていることが多いです。
この模様、毒ヘビであるニホンマムシによく似ているんですね。
毒をもたないアオダイショウは、イタチやタヌキ、タカやフクロウなどの敵に狙われやすいです。
そこで、危険な毒ヘビのふりをして、敵から狙われにくくしているのではないか?と考えられています。
もうひとつ、アオダイショウの体色関連で有名なのは、「岩国のシロヘビ」です。
私たちヒトも含め、多くの生物が体の中でつくる『メラニン』という黒い色素があります。
毛や瞳の色などが黒っぽいのも、日焼けした肌が黒くなるのも、このメラニンによるものです。
このメラニン色素は紫外線を吸収する働きがあり、強い日光から身体を守ってくれているのですが、
ときおり、突然変異でこのメラニンを作ることができない個体が生まれることがあります。
こうした変異や個体のことを『アルビノ』と呼びます。
黒色素のメラニンがないため、肌や毛の色が白くなり、目は血の色が透けて赤くなる傾向にあります。
アルビノとインターネットで検索すると、実に様々な動物でこのアルビノが生じていることがわかります。
アルビノという突然変異が起こる可能性は稀ですが、どんな生物でもゼロではありません。
しかし、体が白くて目立つので敵に狙われやすいこと、紫外線からのダメージが大きいことなど、
野生動物のアルビノは、厳しい自然界を生き残るのには不利だろうと考えられています。
そのため、たまたま生まれたアルビノも、子孫に受け継がれることは多くないはずです。
それなのにも関わらず、山口県岩国市ではアルビノのアオダイショウが多く見つかっています。
最初の記録は江戸時代まで遡り、神聖な「シロヘビ」として当時から大切に保護されてきました。
現在は「岩国のシロヘビ」として国の天然記念物に指定されており、
岩国市には野生のシロヘビが1000匹ほど生息しているようです*。
人間に保護されてきたとはいえ、アルビノの野生集団が維持されている、貴重な例として知られています。
ちなみに安佐動物公園にシロヘビはおりませんが、ぴーちくぱーくにアルビノのウサギがいます!
親は普通に色がついていたので、ひょっとすると、新たに突然変異が起きたのかもしれません。
それだけ、アルビノというのは「普通にありえる」突然変異なんですね。
多くの動物で見られる「ちょっと珍しい特長」であり、
また色が違うだけで、その動物として何も変なこと・おかしなことはないんです。
同じ種類の生物でも、地域や個体によって、いろんな色やいろんな形を見せてくれます。
「周りと違っていること」というのは、ごくごく普通のことなんだなぁということも、
動物園で動物たちをみていると、感じることができます。
そして、おそらく見たことはあっても、近くで観察したことはない!という人も多いであろう、
アオダイショウの姿も、はちゅうるい館でじっくりと見ていただけると嬉しいです。
それでは、また次回!
じゃい
* 岩国シロヘビの館(http://shirohebi.info/), 展示パネルより