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2020/05/03はちゅうるい館の仲間たち(3)マレーハコガメ

こんにちは。じゃいです。

 

GWも後半に突入しましたね。この連載も、いまのところ順調に続けられております。

第3回となる今回は、マレーハコガメを紹介したいと思います。

 

DSC_0051.JPG

インドネシアを中心とした東南アジアに生息するカメで、最大で甲羅の長径が20cmほどになります。

熱帯雨林やサバンナ周辺の水域に生息しており、泳ぐのは得意です。

虫、貝、小魚、水草、果物、藻類など色々なものを食べる雑食のカメで、

陸上でも水中でも餌をとっています。

 

さて、そんなマレーハコガメですが、なぜ「ハコガメ」というかご存知ですか?

実は、甲羅の形にちょっとした秘密があります。

P1130551.JPG 

こちら、頭も足も引っ込めてしまったマレーハコガメです。

引っ込めたとは言っても、手足が全くはみ出ていませんよね?

実はハコガメの仲間は、お腹側の甲羅が蝶番(ちょうつがい)になっていて、

隙間をピッタリと閉じることができるんです!

 

P1130548a.jpg

こちらがマレーハコガメのお腹側(腹甲)を横から見た写真と、

 

P1130547a.jpg

真下(裏)から見た写真です。

それぞれ矢印が示している部分が蝶番になっていて、

ここを軸に腹甲を開けたり閉じたりすることができるんです。

 

ハコガメの仲間は、野外で危険を感じると、この隙間を閉じて"箱"のような姿になります。

固い甲羅に完全に閉じこもることで、頭や手足などのやわらかい部分を守っているんですね。

これが「ハコガメ」という名前の由来になっています。

 

せっかくなので、他の種類のカメと甲羅の形を比べてみましょう。 

P1130642.JPG

左がハコガメ(トウブハコガメ)、右がリクガメ(インドホシガメ)、

それぞれ甲羅の標本を裏から見た写真です。

右の甲羅は、足が出入りするための隙間がしっかりと開いていますが、

左の甲羅は、隙間がピッタリと閉じているのがわかります。

まさに、完全防御ですね!

  

動物園では襲ってくる敵がいませんので、あまり"箱"になることは多くありませんが、

ときどき真ん丸の箱に閉じこもっている姿を見ることができます。

 

私達も健康のため、閉じこもっている時間が長くなってきていますが、

安全になったら、ぜひハコガメたちに会いにきてくださいね。

P1130545a.jpg

 

それでは、また次回!

じゃい