2020/05/24はちゅうるい館の仲間たち(9)ヒガシアオジタトカゲ
こんにちは、じゃいです。
段々と夏が近づいてきましたね。爬虫類の季節が到来です!
今回紹介するのは、ヒガシアオジタトカゲです。
オーストラリアに生息するハスオビアオジタトカゲ(Tiliqua scincoides)の亜種の1つで、
東部の地域に分布することがヒガシアオジタトカゲ(Tiliqua scincoides scincoides)の名の由来です。
草原、森林、岩場など地表の色々な環境に住んでいまして、
虫、カタツムリ、小型の哺乳類、花、果実などを食べる雑食性のトカゲです。
最大全長は60cmほどで、でっぷりと太く短い体が特長。
薄茶色の地に黒や焦げ茶色の帯模様があり、周りの景色に紛れる保護色だと考えられています。
「アオジタトカゲ」の名前の由来であり、一番の特長は、青い舌です。
敵に襲われそうになると、舌を ベッ!と出して、相手を威嚇します。
動物園では威嚇する敵もいませんので、私はこのポーズを実際に見たことはありませんが、
水を飲んでいるシーンを激写しましたので、舌の色を見てみてください。
青いですね~。
そして、舌の形が左右に幅広いことと、
とても器用に動かしてことがわかるかと思います。
それにしても、自分より大きな敵に対して青い舌を出したところで、本当に威嚇になるのでしょうか...?
実は、アオジタトカゲの舌はただの青色ではなく、ヒトの目には見えない 紫外線 を強く反射しています*。
そして、アオジタトカゲを食べる鳥、ヘビ、オオトカゲなどは、紫外線が良く見えているんです。
地味な体色のアオジタトカゲは、草原や砂場では見つかりにくいものの、
注意深い相手には見つかってしまうときもあります。
そんな、食べようと近づいてきた相手に向かって、ベッ! と紫外線を反射する舌を出すと、
「見えにくかった餌が、いきなり眩しい何かを出してきた!」と相手はビックリします。
そして相手がひるんでいる内に、アオジタトカゲはどうにか逃げていくのです。
特に舌の裏側は、舌の先端に比べて2倍も強く紫外線を反射する構造になっています。
この裏側を相手に見せるよう、思いっきり「べっ!!」と舌を出しているんです**。
アオジタトカゲは、日光がよく当たる開けた場所にいることが多いです。
そんな環境で、太陽光に含まれる紫外線を強く反射されたら、ものすごく眩しいのかもしれませんね。
アオジタトカゲの舌はただ青いだけでなく、色々な秘密が隠れている面白い舌です。
生で青い舌を見てみたい!という気持ちはあるかもしれませんが、
この舌を出して威嚇するのは、アオジタトカゲにとっては追い詰められたときの最後の手段です。
舌を出すまで脅かし続けることは、彼らにとっては強いストレスになってしまいますので、
アオジタトカゲに出会っても、そっとしておいてあげてくださいね。
はちゅうるい館にいる2匹は、水を飲んだり餌を食べたりするときにチラッと舌が見えますので、
舌ださないかな~と、気長にの~んびり観察してみてください。
それでは、また次回!
じゃい
*Abramjan et al., 2015. Why is the tongue of blue-tongued skinks blue? Reflectance of lingual surface and its consequences for visual perception by conspecifics and predators. The Science of Nature, 102: 42
**Badiane et al., 2018. Why blue tongue? A potential UV-based deimatic display in a lizard. Behavioral Ecology and Sociobiology, 72: 104.
※ 紫外線を反射する青い舌について、*は別種オオアオジタトカゲ (Tiliqua gigas) での、**は別亜種キタアオジタトカゲ (Tiliqua scincoides intermedia) での研究です。ヒガシアオジタトカゲも同じ構造をもつのか、厳密にはわかっていません。が、アオジタトカゲ属の仲間に共通の特長だろうと考えられています**。